直帰率とは?離脱率との違いやSEOへの影響、5つの改善方法を解説!
WebサイトのSEO対策を行う上でよく聞く指標の一つに「直帰率」というものがあります。直帰率について理解し適切な対策を施すことは、ユーザーが離脱しづらく満足度の高いサイトを作る上で欠かせないものです。この記事では、直帰率の定義や計算方法、直帰率が高い理由と改善するポイントを解説します。
直帰率の意味とは?
直帰率(bounce rate)とは、ユーザーが訪問した最初のページだけを見てサイトを離脱してしまう割合です。1 ページのみのセッション数をすべてのセッション数で割ることで算出されます。
セッション数は、サイトへの流入から離脱までを1回としてカウントします。つまり直帰率は、そのページで始まった全セッションのうち、そのページだけが唯一のセッションだった割合のことです。
なお、Googleは直帰および直帰率に関して下記のように定義しています。
Google アナリティクスの場合、Google アナリティクス サーバーに対するリクエストを 1 回だけ発生させたセッションを特に区別して直帰として扱います。たとえば、ユーザーがサイト内のページを開いた後で、そのセッション中に Google アナリティクス サーバーに対する他のリクエストを発生させずに離脱した場合、このセッションは直帰のセッションになります。
直帰率とは、1 ページのみのセッション数をすべてのセッション数で割った値のことです。つまり、すべてのセッションの中で、ユーザーが 1 ページのみ閲覧して、Google アナリティクス サーバーに対するリクエストを 1 回のみ発生させたセッションが占める割合のことです。
直帰率の計算方法と平均・目安は?
既述の通り、直帰率は1ページのみのセッション数をすべてのセッション数で割ることで算出される、ページごとを対象とした数値です。下記の5日間における直帰率の計算例をチェックしてみましょう。
Day1 : ページA → ページB →ページC
Day2 : ページA → 離脱
Day3 : ページB → ページC →ページA
Day4 : ページC → 離脱
Day5 : ページA → ページC →ページB
上記から、下記のことが分かります。
【各ページで始まったセッション数】
・ページAで始まったセッション数:3
・ページBで始まったセッション数:1
・ページCで始まったセッション数:1
【各ページが唯一となるセッション数】
・ページA:Day2の1回
・ページB:0回
・ページC:Day4の1回
上記を踏まえ、直帰率の計算式は下記の通りです。
1ページのみのセッション数 ÷ すべてのセッション数 × 100 = そのページの直帰率(%)
・ページA:1 ÷ 3 × 100 =33%
・ページB:0 ÷ 1 × 100 =0%
・ページC:1 ÷ 1 × 100 =100%
このように、直帰率は各ページを対象とした、全セッションをベースに各ページが唯一のセッションだった割合を示す数値です。上記の例では、ページCの直帰率が最も高く、ページBの直帰率が最も低いことになります。
一般的な直帰率は40%程度だと言われています。ただし、直帰率はサイトの業種によっても大きく異なります。例えば、店舗の住所やメニューが分かったら直帰する傾向の強い飲食業のページでは、直帰率は65%程度とされています。一方で、 ECサイトなどは商品ページや購入画面などを回遊する傾向が強いため、直帰率は20〜40%とされています。
直帰率と離脱率の違いとは?
直帰率と類似した指標に、離脱率があります。離脱率は、各ページが閲覧された回数(PV数)のうち、そのページで離脱した割合を示す値です。
直帰率 | 離脱率 | |
定義 | ユーザーが訪問した最初のページだけを見てサイトを離脱してしまう割合 | ユーザーがそのページを表示した後に離脱する割合 |
ベース | 全セッション数 | 全ページビュー数 |
計算方法 | 1ページのみのセッション数 ÷ すべてのセッション数 × 100 = (%) | そのページを最後にユーザーが離脱した数 ÷ すべてのページビュー数 × 100 = (%) |
上記のように、直帰率が全セッション数をベースにした数値であるのに対し、離脱率は全ページビュー数をベースとしている点が異なります。
直帰率を算出した既述のケースを例にとると、離脱率は下記のように算出されます。
Day1 : ページA → ページB →ページC
Day2 : ページA → 離脱
Day3 : ページB → ページC →ページA
Day4 : ページC → 離脱
Day5 : ページA → ページC →ページB
【各ページのビュー数】
・ページA:4ページービュー
・ページB:3ページビュー
・ページC:4ページビュー
【各ページが最後のビューだった数】
・ページA:2回 (2離脱)
・ページB:1回 (1離脱)
・ページC:2回 (2離脱)
・ページA:2 ÷ 4 × 100 = 50%
・ページB:1 ÷ 3× 100 = 33%
・ページC:2 ÷ 4 × 100 = 50%
各ページの直帰率と離脱率をまとめると、下記の通りです。
直帰率 | 離脱率 | |
ページA | 33% | 50% |
ページB | 0% | 33% |
ページC | 100% | 50% |
上記のように、同じ離脱率のページでも直帰率には差があるケースなどもあります。
直帰率や他の指標はSEOに影響する?
直帰率と離脱率の違いが分かりましたが、これらの指標は果たしてSEOに影響するのでしょうか。
結論から述べると、直帰率が直接SEOに影響することはありません。つまり、直帰率が高いから検索順位が下がる、直帰率が低いから検索順位が上がる、という訳ではないのです。
ただし、直帰率が低いということは、ユーザーが同サイト内の他のページも見たくなるようなコンテンツである可能性があります。一方で、直帰率は高いものの、そのページの滞在時間は長いことから、そのページにおけるユーザーの満足度は高いという可能性も考えられます。
よって、直帰率が高く滞在時間も短いページに関しては、検索ユーザーを満足させられていない可能性が高く、改善の余地があると言えるでしょう。このように、直帰率とSEOは直接関係がないものの、ユーザビリティの視点から他の要素も考慮して考えると、どのページを改善すべきかが見えてくるはずです。
直帰率が高い理由7つ
直帰率を下げたいものの、どのようにすべきか分からないケースも多いでしょう。直帰率を改善するためにはまず、直帰率がなぜ高いのかを突き止める必要があります。ここでは直帰率が高い理由を7つご紹介するので、該当する理由がないかどうか確認してみてください。
検索ニーズとコンテンツがマッチしていない
直帰率が高い理由としてはまず、検索ニーズとコンテンツがマッチしていないことが挙げられます。ユーザーが知りたかった情報が掲載されていない場合や疑問に思っていたことが解決しなかった場合、ユーザーはそのページを見ただけで離脱しやすくなります。
確かに直帰率が高くてもページ滞在時間が長い場合、そのページだけでユーザーが満足している可能性も考えられます。しかし、ユーザーが検索したキーワードとコンテンツがマッチしていないために、ユーザーがすぐ離脱してしまうケースも多いです。
直帰率の改善を図る際には滞在時間など他の指標も合わせて考慮する必要がありますが、まずは検索ニーズとコンテンツがマッチしているかどうかを確認し、ページを作り込みましょう。関連性の高いサジェストキーワードなどもチェックし、ニーズにマッチしている上に網羅的に情報が掲載されているサイトを意識してください。
リンク先のファーストビューとの整合性が低い
リンクとリンク先のファーストビューとの整合性が低いために、直帰率が高いケースも考えられます。ユーザーが何かしらのリンクからページに飛んできたものの、リンク内容とリンク先で一番最初に目にする内容の関連性が低ければ、ユーザーはすぐにページを閉じてしまいます。
自社サイト内で内部リンクなどを設定する場合には、関連性の高い記事同士を結びつけることが重要です。また、ユーザーはあくまでリンクの文字列やブログカードの内容などを見てリンク先に飛ぶかを判断し、リンク先の内容はそのページを見るまで全く分かりません。したがって、リンク先の内容を踏まえた上でリンクを設定することを、必ず意識しましょう。
内部リンクが少ない
直帰率が高い原因としては、ユーザーが訪れたページに内部リンクが少ない可能性も考えられます。訪れたページを読んでいる最中、または読み終えた後に続けて読む関連コンテンツがなければ、そのページで離脱する可能性は高いです。サイト内の他のページへのリンク=内部リンクを適度に設置することは、ユーザーの離脱を防ぐことにつながります。
ただし、関連性の低い内部リンクを設置したところで、ユーザーは結局リンク先ですぐに離脱してしまいます。内部リンクを設置する際には、関連性の高いページをリンク先として設置することが重要です。
また、ページ上部に内部リンクを設定することにも一定の効果があります。ページの冒頭に内部リンクがあると、そのページの離脱率は上がる可能性があり、メリットがないようにも思えるものです。しかし、ページ上部に内部リンクがあることで、ページが検索意図と異なると判断したユーザーがリンク先を訪れることで、直帰率を下げられる効果が見込めます。
このようなポイントも意識し、内部リンクを適宜設置して、直帰率を改善しましょう。
サイトが見づらい・読みづらい
直帰率が高い理由としては、サイトの見づらさや読みづらさも挙げられます。たとえ検索ニーズにマッチした内容を作り込んだとしても、視覚的な見づらさ・読みづらさによってユーザーが離れるケースも多いです。直帰率を下げるためにも、下記のようなポイントを意識してサイトを作ることが重要です。
・誤字・脱字を少なくする
・一文を短くし適宜改行を行う
・専門用語を過度に使わず、端的に意味の分かる文章にする
・マーカー・太字などの装飾・画像などを適度に用いる
どれだけ内容が詳しく情報が網羅的に掲載されたページでも、上記のような条件を満たしていなければ、ユーザーは読むのをやめてしまうでしょう。視覚的に分かりやすいサイト作りを心がけることも、直帰率の改善につながります。
読み込み速度が遅い
読み込み速度があまりに遅い場合にも、直帰率は高くなります。読み込み速度が遅い場合、ページが表示されるまでに時間がかかるため、ページを閉じてしまうユーザーは必然的に多くなります。下記の対策を施して、サイトの読み込み速度を上げましょう。
・Google PageSpeed Insightsで自社サイトをチェック
・外部ファイルの縮小・消去
・外部ファイルをブラウザキャッシュに保存
・画像サイズの縮小
・モバイルフレンドリーの実践
1ページで問題を解決し満足した
直帰率が高い理由としては、ユーザーが1ページで問題を解決して満足した可能性も考えられます。求めていたコンテンツが網羅的にページに掲載されているために、ユーザーはそのページのみでサイトから離れることもあるでしょう。
特に、1ページのランディングページなどは、直帰率が高いです。このように直帰率が高い理由はネガティブなものとは限りません。直帰率が高い理由がネガティブなものかを突き止めた上で、ページ内容を充実させつつ、内部リンクなどを適度に設置するなどの対策を行っていきましょう。
申し込み完了ページである
申し込み完了ページなどは、最終的にユーザーのニーズを満たしアクションが完了するページであるために、直帰率は高いです。他にも、問い合わせページや購入確認ページなどのコンバージョンページは、ユーザーが離脱するページとなっています。
直帰率を改善しSEO効果も高める方法5選
ここまで直帰率が高い理由をチェックしてきました。直帰率が高い理由が必ずしもネガティブなものとは限りませんが、適切な対策を施すことで直帰率を改善することで、ユーザーの満足度を上げられるケースも多いです。ここでは、直帰率を改善しSEO効果も高める5つの方法をご紹介します。
内部リンクを設置する
直帰率を改善する上で特に効果的な方法としては、内部リンクの設置が挙げられます。ページ内容がユーザーのニーズを満たしているかどうかに関わらず、内部リンクがないことでユーザーが離脱してしまうケースは多いです。
内部リンクを設置することで、ユーザーが最初に訪問したページ以外のページにも簡単に飛べるため、直帰率を改善することができます。内部リンクを設置する上では、下記のようなポイントを意識してください。
・関連性の高いページのみをリンク先として選定する
・ユーザーニーズを満たせる高品質なページのみを選定する
・リンク先の内容が分かるアンカーテキストを設定する
・パンくずリストを設置してサイト内のページの位置を示す
上記を意識して効果的に内部リンクを設置することで、検索エンジンやユーザーにとって分かりやすいサイトを作ることにつながります。つまり、直帰率改善のために内部リンクを設置することで、SEO効果も高められ検索順位も上げられるでしょう。
アンカーリンクで目次を設置する
直帰率を改善する対策としては、ページに目次を設置することも挙げられます。目次を設置すれば、ユーザーはページ内リンク(アンカーリンク)により自分が読みたい部分に飛べるため、求めている情報を効率よく得られます。
記事のボリュームが大きいにも関わらず、目次がないことでページ内のどの位置にどんな情報があるかが分かりづらいと、ユーザーは読むのをやめてしまうものです。アンカーリンクで目次を設置し、ユーザーにストレスなくページを読んでもらいましょう。
改行や箇条書き、画像などを活用する
直帰率の改善においては、改行や箇条書き、画像などを活用して分かりやすいページにすることも重要です。内容に関わらず、改行がなく文章が続いているページや、箇条書きや表・画像などがなく文章のみで構成されたページは、ユーザーにとって非常に読みづらいです
適度に改行によって文章が読みやすく、箇条書きで要点がまとまっていれば、読者は読むのを苦にしないため、ユーザーは離脱しづらくなります。また、表や画像などが挿入されていることも、ユーザーの内容理解を大幅に手助けしてくれます。長い文章をダラダラと書くのではなく、読者にとって分かりやすい構造を意識して、各ページを作成しましょう。
ユーザーの検索意図を満たすコンテンツにする
直帰率の改善やSEO対策においては、ユーザーの検索意図を満たすコンテンツにすることも重要です。ユーザーの検索意図と異なる内容が掲載されているページは、ユーザーの直帰率が高いだけでなく滞在時間も短いでしょう。
ユーザーの検索意図を考慮し、ユーザーが求めている情報を網羅的に掲載すれば、必然的にユーザーの満足度は高まります。その結果ユーザーが満足して1ページで直帰するケースもありますが、サイトを信頼して他のページを読んでもらえるケースもあります。
また、ページ上部に関連性の高い内部リンクおよび目次を設置することで、そのページに求めている情報がなさそうな場合でも、ユーザーを他ページに誘導できます。
直帰率だけではなく滞在時間も重要な指標であるため、一つの指標のみで判断しづらいケースも多いでしょう。いずれにしても、ユーザーの検索意図を満たすコンテンツの作成はSEO対策において最も重要な対策の一つです。
モバイルフレンドリーにする
直帰率を改善する上では、モバイルフレンドリーにする対策も重要です。端末別アクセスの割合は業界によっても異なりますが、モバイルからのアクセスが7割以上を占めるサイトも多いです。
自社サイトをスマホなどのモバイル端末上で快適に閲覧しやすい状態=モバイルフレンドリーにすることで、スマホで検索しているユーザーの離脱を防ぐことができます。具体的には、下記のような対策を実施するのがおすすめです。
・フォントサイズ、リンク・ボタンの大きさや位置を携帯仕様にする
・画像圧縮などのデータサイズの軽減を行う
・キャッシュを活用する
・レスポンシブデザイン(閲覧ユーザーが使用するデバイスの画面サイズに応じて表示を最適化するデザイン)を活用する
SEO 直帰率 まとめ
この記事では、SEOの直帰率に関して詳しく見てきました。直帰率とは、ユーザーが訪問した最初のページだけを見てサイトを離脱してしまう割合のことで、ページビュー数をベースとして算出される離脱率(ユーザーがそのページでサイトから離脱する割合)とは異なります。直帰率が高いからと言って検索順位が下がるということはありませんが、直帰率の改善を行うことは、SEO効果を高めることにもつながります。ページ内容を充実させるとともに、内部リンクの設置なども適宜行い、ユーザー満足度の高いサイトを構築しましょう。